ゲバラとフィディロはアルゼンチーナだった。

マラドーナはアルゼンチンの英雄で、今はフィディロ・カストロに招かれキューバの海で呑んだくれている。
ラテンの血が英雄を求めるのだろう。ゲバラマラドーナは彼らにとっての英雄であり、血を分けた兄弟であり息子でもある。
エビータもそうだ。彼らの英雄に対する欲望には理非がない。

きっと、遥か昔の偉大な将軍や偉大なキャプテンも、マラドーナのように愛されたのだろう。
英雄には悲劇がつきものだ。功を立て禄寿を得た英雄なんて存在し得ない。
アルゼンチンを背負った英雄は、アルゼンチンのために身を滅ぼさなければならない。
もしもアルゼンチンが豊かな国で、彼らが理知的な民族だとしたら、マラドーナなんて存在しなかっただろう。ただちょっと点を
取るのが上手なクレバーなチビが産まれていただけのことだ。
エルバ島に流されたナポレオンのように、マラドーナキューバに流された。